愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「料理はパスタとピザと生ハムサラダがオススメだ。
田中さん特製の」

「……あ、確かに写真からすごく美味しそうです」

「だろ?新しい客には毎回オススメしてるし、常連客にも気に入ってもらえてんだ」


どうやら風雅さんは、自分から積極的に話しかけてくるタイプのようだ。

話の膨らませ方が上手で、客の心を掴むタイプだろう。


「だからきっと川上さんも気にいると思うな。
どうだ、これにしねぇ?」

「はい、じゃあこれでお願いします。
楽しみです」


本当に美味しそうだと思ったため、オススメされたものを頼む。


「よっしゃ、田中さーん!
いつもの3つ入りましたー!」

どうやらその3つはセットのようで、なんとも簡単な伝達だ。


「じゃあすぐに飲み物用意してくるな」
「ありがとうございます」


大人びた笑みを浮かべた風雅さんは、すぐに飲み物を入れる準備を始める。


「風雅さん、すごくフレンドリーな人なんだ」
「だろうね。誰とでも仲良くできそう」

「確かにそうかも。すごく面倒見の良い人で、俺もあの人に助けられたうちのひとりなんだよ」

「助けられた…」


そういえば風雅さんは“瀬野の親みたいなもの”と言っていたな。