「えー、まずは自己紹介からだな。
俺はここの従業員で、涼介の…何になんだろ」
「一応先輩ですかね」
「んじゃ先輩で。先輩の光村風雅だ、よろしくな」
「あ、私は瀬野くんと同じクラスで…川上愛佳って言います。よろしくお願いします」
少し緊張した風に見せながら自己紹介をする。
初対面なのだが、風雅さんは親しみやすそうな人に思えた。
「いやぁ、見るからに良い子だな。すごく綺麗だし、いつもケバい女侍らせてた涼介がこんな…こんな、感慨深い」
「泣かないでくださいよ」
「俺は涼介の親みてぇなもんだからな!
泣いて何が悪い!」
実際に泣いてはいないのだが、風雅さんは涙ぐんでいる様子。
到底演技とは思えず、なんとなく良い人だと感じた。
「さあ本題に入ろう、ふたりの関係は?」
「え、あの…」
「風雅さん、いきなり踏み込みすぎです。
川上さんが困ってます」
「そうか、悪い。じゃあまずは何か飲むか?ジュースでも良いし、アルコールのないカクテルも出せるけど。それからメニューはこれだな」
そう言って差し出されたのは、ご飯とドリンクのメニューが載っている冊子で。
ノンアルコールといえど、少し怖いため無難にジュースを頼んでおく。



