「ここ?」
「そう、ここの4階」
正直少し古びたビルに見えるけれど、バイクを停めてから中に足を踏み入れる。
エレベーターに乗って4階に行くと、廊下に出てすぐバーの看板が見えた。
「わっ…」
中に入ると古びたビルからは考えられないほど綺麗で落ち着いた空間で、店内は少し暗い。
「いらっしゃいま…おお、涼介!」
「風雅さん、お久しぶりです」
先を歩く瀬野の後ろをついていくと、従業員に名前を呼ばれていた。
見るからに親しそうである。
風雅さんと呼ばれた男は、焦げ茶色の髪に耳たぶにはシルバーのピアスが付けられており、女性客から人気がありそうな整った顔立ちをしていた。



