愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「じゃあ鍋用の食材も買わないとね。
何入れよう」


いつの間にか瀬野と並びながら売り場を回り、買い物を進める。

お互い話しながらの買い物は、少し楽しいと思ってしまう。

たまにはこのような買い物があってもいいじゃないかって。


「結構買ったね」
「買いすぎたかな…まあいいや」


いざ買い物が終われば、瀬野の言葉通り中々の量になってしまう。

けれど私だけでなく瀬野もいるため、手分けして荷物を持てるのが良いところだ。


「川上さん」
「何?」

「それ、重いでしょ。俺に貸して」
「そんなか弱い人間じゃないんで大丈…あっ」


私が拒否する前に、重めの荷物を奪われてしまう。

気を遣ってくれてるのはわかるけれど、少々無理矢理ではないか。


「ここは俺に見栄を張らせてよ」
「…勝手にしたら?お礼は言わないけど」

「そうさせてもらうよ」


とはいえ瀬野が重い荷物を持ってくれたことにより、腕や肩が軽くなった。

そんな中で瀬野とふたり、帰路に着く。