愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜







さすがにバイクに乗っての移動は危ないため、電車移動でまずは両親が眠るお墓のある最寄駅へとやってきた私たち。

駅前に花屋さんがあるため、そこでお花を買う。


「……両親に会いに行くの?」

瀬野はそのお花を買っただけで察したようで、さりげなく聞いてきた。



「うん、買い物して荷物が増える前に行きたいなって」
「……そっか」


珍しく黙る瀬野。

こういう時こそ気を遣わずに、いつも通りでいて欲しいのだけれど。



「何か話してくれない?
気まずいんだけど」

「いや、あまり触れない方がいいかなって…」
「いらない気遣いをどーも」


花を抱きかかえながら歩く中、流れるのは静かな空気のみ。

田舎に近いここは、昼間でもあまり人通りが少ない。



「……川上さん」
「何?」

「両親はどんな人だったの?」
「えっ?」

「いや、別に答えたくないなら大丈夫なんだけど…」


突然の質問に驚いたけれど。
別に隠すことでもないから素直に話す。

墓地まであと5分は歩くだろう。
その間ずっと離さないのも気まずい。