「そんなの見たかったからに決まってるよ」
「……は」
「怖がってる川上さんの姿。ああ、本当にかわいかっな。今から翼に頼んで復元してもらいたいくら…ほら、痛いよ川上さん。冗談だから暴力はやめて」
「し、信じられない!
今すぐ私の前から消えて!」
とんだクズ野郎だ。
何が“そこまでクズじゃない”だ。
十分クズで変態である。
瀬野を叩けば、すぐに手首を掴まれてそれを制されてしまう。
どうせ私なんかが叩いたところで、全く痛くないくせに。
「そんなに怒らないで。さすがに最低だなって思ったから、昨日のうちに消したんだよ」
「そんなの当たり前だ!
このバカ、本当に大嫌い!早く出て行け!」
瀬野に対して感情任せに言葉をぶつけていると、彼は突然笑った。
それも悪そうな笑みに嫌な予感がする。
慌てて口を閉じて離れようとしたけれど───
「ダメだよ、俺から離れたら。
川上さんから触れてきたのに」
「…っ!?」
私の右腕を強く引っ張り、バランスを崩させた後。
腰の下、際どい場所に右手を添えてくる。
膝立ち状態のままで瀬野の元へと倒れ込んだ私は、なんとも恥ずかしい格好であった。



