愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




昨日にあんなことがあったため、今日はまだすぐ切り替えられないだろう。

けれど時間が経てばきっとこの感情も消えるはずだ。


そしたらまた瀬野とはいつも通りの関係に戻り、学校が始まればオサラバである。


「瀬野、今日は出かけるから」


そのため今日は密室空間で“ふたりきり”であることを避けたい。


「出かけるの?」

「お正月の用品とか揃えないといけないし、年末年始に向けての買い物。瀬野は荷物持ちね」

「…なんだか夫婦みたいだ」
「…っ、馬鹿じゃないの」


たった一言。
瀬野の放った言葉にすら過剰に反応してしまう。

本当に今日の私はダメだ、落ち着かない。


「だから少し離れたショッピングモールに行くよ、同じ学校の生徒と会わないように」

「わかった。俺は別に会ってもいいんだけどな」
「それはあんたの都合でしょ」


私がきつく睨んだところで瀬野は屈しない。
むしろ嬉しそうにも見えるため、M人間だと思い込むことにする。