服を着てから部屋に戻れば、瀬野がバラエティ番組をじっと観ていた。

先ほどの私と同じで失笑すらせずに、おかしいくらい真剣に観ている様子。


瀬野ならもっと面白そうにしそうなのだが、偏見だろうか。


「……今日はいきなりごめんね」

髪を乾かし終えたのだろう、瀬野の茶色い髪がサラサラになっていた。


「クラスメイトが困ってるなら助けて当然でしょう?」


なんて口では良いように言っておく。

手助けするのは、好感度を上げるためでもあるのだから私はずるい。


「優しいね、川上さんは」
「そんなことないよ」


ただのずるい女。
瀬野なら手を出すことはしないだろう、なんて考えちゃう女。

あまり持ち上げたところでいいことはない。



「ドライヤーかけるね、ちょっとうるさいけど」
「……俺が」

「うん?」
「俺に乾かさせて」

「えっ…」


そう言って奪われたドライヤー。
まさかの展開。

誰かに乾かしてもらうとかいつぶりだ。