「ごちそうさまでした。
川上さん、本当にありがとう」
彼の一言で沈黙が破られた。
「…………」
「川上さん?」
「あっ、うん…最後まで食べてもらえて嬉しい」
それよりも。
さっきの“ありがとう”の言葉、悪くないなんて。
「そうだ、お風呂もうすぐ沸くから先入ってほしいな。服も用意してあるから」
「えっ、そこまで…」
「泊まっていいって言ったんだから、最後までもてなさないと!……ね?」
さすがに戸惑っていた瀬野だったけれど、半ば強引に洗面所へ連れて行った。
簡単にお風呂の使い方の説明をしたところで、明日も着ないといけないワイシャツを脱いでもらい、受け取って洗濯を回す。
その間も時間の無駄がないよう、洗い物に取り掛かった。



