「美味しい…」
「本当?良かったぁ」
誰かに料理を振る舞うだなんて初めてのため、気に入ってもらえてよかった。
夜ご飯を食べてきた私はお腹が空いておらず、瀬野と一緒にご飯を食べることはなかった。
そのため瀬野の食べている横でじっとしているのも気まずいかなと思い、お風呂を沸かしに行くことにした。
沸いてすぐ瀬野が入れるようにと準備もしておく。
彼がお風呂に入っている時は洗い物と洗濯をしようと頭で考えながら部屋に戻ると、もうだいぶ食べ進んでいた。
私はなるべく気にしないようにして、バラエティ番組でも観ることにした。
けれど普段からバラエティ番組を観ても笑えないため、さすがに嘘でも笑うことはできない。
“笑顔”は得意でも、声を出して笑うことはできないのである。
偽るって大変だなと思いつつ、なんともいえない沈黙が流れていたけれど。



