もう料理も慣れているため、時間短縮なども考えながら調理を進めていく。

そして完成するなり、瀬野の元へと料理を運んだ。


「はい、これ。
口に合うかわからないけど…」


瀬野の前にそぼろの丼と野菜スープを置けば、なぜか目を丸くしてじっと料理を見つめ出した。


「……瀬野くん?」
「あっ、いや…こんなこと初めてで」

「初めて…?」
「いつもヤルことしか頭になかったんだなぁ…」

「……瀬野くん?」


やること?
瀬野は何の話をしているの?

まるで独り言のように呟く瀬野は明らかにいつもと様子が違う。


「ううん、なんでもない。
ごめんね、わざわざ作ってくれて」

「別に気にしないでいいからね!まだスープもおかわりあるから、欲しかったらいつでも言ってね」

「ありがとう」


ようやくいつもの瀬野の姿に戻る。
けれど、違和感は消えない。

やっぱり追い出されたというのは、何か意味があるのだろうかと考えずにはいられない。