「……あっ」
そこで思い出した。
確かお父さんが昔よく来ていたパーカーとジャージのズボンがあったはず。
私も着れそうだというのと、お父さんとお母さんの存在を忘れたくないということで、二人の所持していたものもいくつか持ってきたのだ。
こういうところがまだまだ弱い証拠なのだろうけれど。
「……作ろ」
考えたところで寂しさしか残らない。
忘れようとキッチンへ向かう。
冷蔵庫には昨日安くで買った野菜が多くあったため、寒さにぴったりな野菜スープでも作ろうと思った。
あとは簡単なそぼろ丼ぶりでいいかと思い、作り始める。
だって時間はもう20時を過ぎているのだ。
瀬野もお腹が空いていることだろう。



