エントランスを3人で歩く。

 〈そのチョコどうするんですか?〉

 「ちゃんと食べます」

 〔彼氏がいるんだから断らないと〕

 「だってわざわざ私のために買ったんだよ、その気持ちに応えてないと」

 〈辻本さん優しいですね、彼氏が怒らないといいね〉

 「大丈夫だよチョコだよ」

 〔それはどうかなぁ〜?〕呆れて話す。

正面玄関の自動ドアを通り抜けると冷たい風が吹いていた。

 「寒い〜」とコートの襟を立て駅に向かって歩く。
 「上谷君だってもらって…ない‼︎」

 〈俺にはちゃんと恋人がいると言って断りました〉

「そっかー あっ、今更だけどファンクラブどうなったの?」

 〔上谷が恋人発言したから解散です〕

 「ほぅ、コレで心おきなく独り占めできるね」と顔を真っ赤にした篠原の腕ツンツンする。