小さい頃、友達が貸してくれた少女漫画を読んで「こんな恋をしてみたいなぁ」と思った。

かっこいい男子に可愛い女子。オシャレな服に素敵なデートスポット。甘い言葉やキス。何もかもが甘くて、幼かった私は一瞬で少女漫画に魅了された。

でも、歳を重ねていくと私にはこんな恋は似合わないと思うようになっていた。

美人でも可愛くもない普通の顔立ちは、少女漫画のヒロインとはかけ離れている。クラスの中心にいるわけでもないし、私にはエキストラがぴったりだ。

そんな思いのせいで、恋はいつだって諦めて生きていた。私よりきっといい人がいるからって……。

そして、高校一年生になったある日のことだった。周りは恋一色で、彼氏ができたと騒ぐ子も多い。それが羨ましかった。

私が朝学校に来て机の中に教科書を入れようとすると、何かが入っていた。それは、一枚の紙だ。パンダの絵が描かれた可愛いもの。

「放課後、中庭に来てください」