隣の家は2階建ての小さな家だった。
小さいといっても、
今思えば自分の家が大きいだけだったのかもしれない。
花に囲まれた、温かな雰囲気の家だった。
門をくぐって、玄関のチャイムを鳴らした。
中から返事があって、
しばらくすると母親の2倍くらい横幅がありそうな
大きなおばさんが出てきた。

「はじめまして。咲下修(さかした しゅう)です。」

母親に「あいさつ!」と小さく言われて、
僕はおずおずと口を開く。
だって、なんだかデカくて怖いんだ。このオバさん。
話すだけでも迫力がある。
でも母親はこのでっかいオバさんと意気投合したらしく、
得意の長話が始まってしまった。
僕はその隙を伺い、門の外へ逃げ出した。

門の前で出会った女の子。
それが“彼女”だった。