細く整えられ、きりっとつり上がっている眉毛。

はれぼったく切れ長で、目力のある瞳。

大きく筋の通った鼻。

口角の上がったニヒルな口、そして厚めのくっきりした唇。

深みのある低い声。

肩幅の広い背中。

ライオンみたいにツンツン立てられた髪の毛。




ちゃんと顔を見れたのは初めてのことで、
その衝撃は大きかった。




その日、結局資料室まで教材を運んでもらったあと、
別れてから下校中でも会うことはできなかった。




それからのオレはもう、大変だった。


家に帰ってから
繰り返し脳内に現れるのは、


佐野原くんの姿。


佐野原くん。





佐野原くんって言うんや…。





全てが、好きで、たまらなくて。



まるで自分が女の子のような

そんな気持ちだった。





男の人を好きになる女の子は
恋をする時こんな気持ちなんやろうか。

握手した右手が未だに熱い。





本当は変だってわかってる。

オレは男やし。






それってつまり

ゲイってことやん。






でも、いつも浮かぶのは

佐野原くん。







誰かには退屈な時間でも

オレにとっては大事な

佐野原くんのことを考える時間。







こんなに人を好きになると

もはや付き合うとかそんな次元じゃなくて

ただただ




関わってもらえるだけで幸せだ、なんて

思ってまうんやなぁ。




これが俗に言う

甘酸っぱい片思い、か。




叶わない恋ってのは

勝手に自分で叶わないって

決めつけてるもんやな。





でもそれでもいい。

だって、今日話したんやもん。





友達になれたんやもん。





はぁ、好きやなぁ、全部。

好きでたまらん。

かっこいい。




ちょっと悪そうなのがまた…。



でもオレは怖いの苦手。

ヤンキーとか、ちょっと近寄れんやん。




でも…佐野原くんなら。




それはそうと、なんで

佐野原くんなんやろ?





なんで急に

一目惚れしたんかな。






んー…これはまた煩悩しそうな。












明日も会える。

それだけで嬉しい。

好き。