あれから、
オレとナオくんは何事もなく
すっかり落ち着いたあと
「また明日」
とだけ言って
笑顔で別れた。
"親友"やから。
何も起こるはずがない。
起こすはずがない。
お互いに抱き合って慰めただけ。
励ましただけ。
気持ちを、伝え合っただけ。
オレたちにとって、あの時は
親友として当たり前のことを
していた、だけ。
何も、何もおかしくないーーー。
これは、現実逃避だ。
帰り道、オレの鼓動は煩く揺れていた。
好きやと言ってしまったことに、
後悔が後を絶たない。
たとえナオくんが好きやと言ってくれても
それが恋心とは限らんのや。
ゲイではないとはっきり言われた手前、
違う意味なんだという思考が
どうしても拭いきれないでいた。
つらい。
ナオくんの気持ちが嬉しいのに。
なんで、嬉しいのに。
いつの間にオレは
友達以上の関係を
求めてしまってるんや。