オレが、イケる?

どういうことや…。

意味不明すぎて意味不明。

いやいや。




「ヒイロって、女装似合いそうやん」


「えっ」


「体ゴツいわけでもないし、白いし」


「えっ」


「顔とかも、なかなか可愛いと思うで」




イケるって………そっち!?

びっくりした…男が好きなわけではないんやな…。




「あー…女っぽくしたらギリありってことね…」


「んー、まぁそうね、さすがに」




きっと、田口くんも特殊なんやろうなと思う。

だって、普通の人は
たとえ女装してたって、
男が相手やったら嫌やろうし。

ナオくんもそうだ、なんて
都合の良い話があるわけがない。

それに、女の子として見て欲しいわけでもない。

オレは女の子になりたいわけやない。

だからこそ、田口くんの話は
納得のいくものではなかった。




「……ナオくんは、そうは思わんと思う」


「…………」


「ええんよ、友達のままで。
それだけで充分幸せやしーーー」


「卒業しても?」


「えっ……」




なんとなく、その質問には答えづらかった。
卒業しても友達でいてくれる保証なんて、ないから。

自然と疎遠になるかも知れん。

ナオくんは高校で男友達と遊びまくった分、
卒業したらたくさん恋愛するかも知れん。

現時点でのオレへの気持ちなんて
最近二人きりで話してへんから

全くわからんわ。




「それは…」




口ごもっていると、
田口くんは真剣な眼差しでオレを見た。





「あいつ、卒業したら地元おらんようなるぞ」



「え、」






望んでもいなかった言葉と
何も知らされていなかった事実に、

オレは目の前が真っ暗になった。