「や、お前ほんま綺麗な顔してめっちゃ表情豊かやんか」


「えっ」


「いや、ガチでおもろいww」




あ、そっちの意味ね…。

でも、どう言う意味やとしても
今、好きな人に
完全に"好き"って言われてしまってんけど…。

はっきり聞こえてんけど。


もうそろそろ死に時なんかな。


心臓が全くもたへん。




「ちょっとさ、家も近いっぽいし今度遊ぼうや」


「え、え、」


「あ、全然イヤやったらええねんけど…」


「やっそんなこと…」




つい先ほどまで無邪気に笑ってた佐野原くんの声は
次第に苦く乾いた笑い声に変わっていった。

思わず不安になって、
隣にいる彼の顔を見上げた。




「あのさ、誤解せんでほしいねんけど、」


「ん、うん」


「俺ほんまに単純に仲良くなりたいだけで、
別にからかいたいわけちゃうからさ」


「え…」




前を向いたまま歩いている彼は
淡々と優しい言葉を次々に吐き捨てていく。




「おもろい奴と、ただ楽しく絡みたいだけやねんか」


「そ…そっか」


「俺、橋本とも普通に仲良くなりたいんやで。
ただ結構いきなりウザ絡みしてもうてるから
イヤな思いさせてたらホンマごめんやけどな」




気をつかってくれてるんや。

オレが、あまりにも会話してないもんで
不安な思いさせてしまったんや。

そうよな、嫌がってるって、思ってまうよな普通。



ちゃう。

ちゃうんやで。




ほんまにオレは、

話しかけられただけでも嬉しくて、

今でも幸せの度が超えてて、

どうしていいかわからなくて、




ただ、オレは





「せやから、イヤやったらいつでも言うてや」


「ちゃう、し」


「…ん?」





オレだって、仲良くなりたいんや。





「…イヤ、ちゃうし」


「……………」






こんなこと、奇跡やと思うから。

片思いしてる、大好きな人と

友達になれるなんて。



ただの偶然じゃないと思いたいから。



せやから、



頑張れ、オレ。






「佐野原、くん、」


「ん…?」


「お、オレ…いやちゃうから、

せやから






こ、今度、あそぼ?」