ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋

海はセンスがいい。いつもの着ている服装もおしゃれだ。
時々寝ぐせがついていることはあっても身なりには気を付けているタイプだった。

「ここが新郎新婦の席で、そっちに全部で55席の来客席が並ぶ。うち親族の席は12席。」
海が椿に説明していく。
「明日はここに朝8時に入って花をセッティングしていく。」
「・・・はい」
作業台で同じ花飾りをひたすら作っていた椿。小さな花飾りだけでは全体像をつかむのが難しい。
海が椿を会場に連れて来たのは全体像をつかんでほしいからという理由だけでなく、モチベーションをあげるためではないかと椿は思った。

ふと椿が海を見ると海はホールの天井を見上げていた。

その表情がなぜかいつもの裏口で煙草を吸っている時の表情に見える。

「もしかして・・」
椿が海に話しかけた。

椿が海に話しかけるのはめったにない。海は椿から話しかけられたことに少し驚いていた。