椿は与えられた仕事をやるだけで、まだ海の支えになるような仕事はできていない。
そんな自分にやるせなさを感じていた。

「式場と打ち合わせ行ってくる。お前も行くか?」
海の提案に椿は喜んで返事をした。
珍しくうれしさを表情に出している椿に海は少し微笑んだ。
「この花を実際に飾る会場を見といたほうがいい。」
「はい」
そう言って海は店の車に向かう。

「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
まだ作業をしている凌駕に椿は挨拶をしてから海の後ろを急いでおった。

海の運転で車に乗るのは初めての椿。
営業用の車は運転席がベンチシートになっていて、その隣に二人乗れるようになっている。
運転席の横に座った椿はどきどきしていた。