「だいぶ疲れてんな。店長。」
「はい」
凌駕も明らかに日に日に疲労していく海を目で追っていた。
「この時期は特に、店長は弱いんだ。」
「?」
椿が凌駕を見ると凌駕が手元の花を見ながら小さくつぶやいた。
「俺の姉貴が亡くなった季節だから」
「・・・」
なんといっていいかわからない椿。

どうして奥さんが亡くなったのか・・・などそれ以上は聞けない。

椿はもう一度店の裏口を見た。
ドアには小さな窓があり、そこから海が空を見上げて煙草を吸っているのが見える。

何度も見るその姿は悲しみに満ちていた。