「立てるか?」
海はそう言って椿を支えて一緒に立ち上がる。
「ごめんなさい」
びくびくしている椿。海は慌てて大きな声を出してしまったことを後悔した。
「けががなければいい。気をつけろよ。俺も凌駕もいるんだから、高いとこの作業は呼べ」
海は椿の頭をポンポンと撫でて作業台に戻った。

「大丈夫?」
凌駕がすぐに脚立を直して椿の隣に近づく。
「はい・・すみません」
椿がどうしたらいいかわからず、おどおどとしている。
「椿ちゃん。」
「・・・はい」
「俺も、店長も椿ちゃんが大切。だから店長もつい厳しく言っちゃったんだよ。わかってね」
「・・・はい」
椿はちらりと海の方を見た。海は再び無表情で作業をしている。

せっかく見つけた自分の居場所・・・でも・・・失ってしまうことが怖い椿だった・・・。