無機質な扉の前で海は小さく深呼吸をしてから扉を開けた。

「よう」

海の言葉に真っ白な部屋の奥にいる車いすに乗った女性が振り返る。

海はまっすぐその女性の元へ近付き、正面に回ると車いすの前に膝間づいた。
「今日のプレゼント。」
そう言って手にしていた花を膝の上に置く。

女性はゆっくりと左手を動かし花を撫でる。

「風邪ひくぞ」
海はそう言ってベッドの上に置かれていたカーディガンを女性の肩にかけた。

「ありがとう・・・」
小さな声でつぶやく女性は・・・椿だった。