そんな店長の態度をフォローしようと立ち上がったのは店長の義理の弟。
倉科凌駕(22)。この店唯一の従業員。
ぶっきらぼうな店長に代わっていつも笑顔で人あたりのいい性格。

「ひどい!」
面接を受けに来ていた女性は椅子から乱暴に立ち上がり店から出て行った。

「はぁー。」
凌駕は深いため息をついてから、店長である海のいる店の裏口へ向かった。
そこでいつものように空を見上げながら海は煙草を吸っている。
この男、かなりのヘビースモーカーだ。

「あんな態度だったら見つかりませんよ?社員。」
「あー。」
「まぁ何回も店長の顔目的の女が来てすぐ辞めましたけど。」
「あー。」
「猫の手でも借りたいくらいなんですから。ちょっとくらい妥協しないと。」
「すまん。」
海は凌駕を見ないまま空を見上げている。