その微笑みを見て凌駕も海も笑顔になった。

椿は前よりも自然に微笑むようになった。

母との和解は無理でも、過去を抜け出した椿は少しずつ笑うようになり、事件から2か月がたったころには笑顔もぎこちなさが随分となくなった。

「ありがとうございました」
椿が店の入り口まで客を見送ってから店内に戻ると凌駕が椿を見て微笑んでいた。

2か月前。
椿が店に戻らないんじゃないかと思っていた時、店が休みの日に海から連絡が来た。

椿を見つけたという連絡に凌駕は心から安心した。
でも同じくらい、見つけたのが海だったことに悔しさを感じた。

そのくらい、凌駕にとって椿の存在は大きくなっている。