ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋

大きな椿の木の下。
椿はひとり膝を抱えて座っていた。

ここは思い出の場所だった。

この場所で母との時間を思い出す。

母は自分を襲ったパートナーが警察に捕まったことで椿をかなり責めていた。
『あんたが我慢すればよかったことでしょ!』と頬をたたかれ、手当たり次第に物を投げられたことを思い出すと心が痛む。

結局どんなに自分ががんばっても、母が求めているのは自分ではなく、誰かほかの男の人のぬくもりだったのだと思い知った。それでもまだ・・・母をあきらめきれていない自分の幼い心にうんざりしながらも、椿はこの思い出の場所で気持ちを切り替えようとしていた。

この場所は、幼いころの母との思い出の場所だった。
唯一といってもいいほどの、きらきらした母との思い出の場所。