二人はしばらく並んでベランダからの景色を見た。

「凌駕」
「・・・はい?」
景色を見たまま海が凌駕を呼び、凌駕も景色を見たまま返事をする。

「ありがとうな」
海の言葉に凌駕はなぜか泣きそうになる。

ずっとずっと姉の死で悲しみ苦しむ海を見て来た。
うまく支えきれず悔しい思いをずっとしてきた凌駕。

「これからもよろしくな。」
海が凌駕の頭をわしゃわしゃと撫でる。

「あたりまえでしょ。店長に嫌がられても離れてあげませんからね。覚悟してください。」
「ははっ」
凌駕の言葉に海が笑いながら空を見上げた。