「姉貴が死んだのは店長のせいじゃありません。」
「・・・」
海が切なく微笑みながら空を見上げる。
「そうやって空を見上げながら、迷子の子供みたいに姉貴の姿を探し求める店長を、俺はずっと見てきました。」
凌駕も空を見上げる。

「椿ちゃんと店長に同じような雰囲気すら感じてます。俺。」
海も何となく椿には自分と似ている雰囲気を感じていた。

凌駕も感じていたのだと気づく。

「ちゃんと見ていないと消えちゃいそうな二人は似てます。いや、違う。放っておくといなくなりそうな儚いふたりを放っておけません。」

香菜が亡くなってからずっとそばにいてくれたのは凌駕だ。
凌駕がそんなことを考えながら自分のそばにいてくれていたことに海は気づいた。