「うまい!」
椿が作ったのは和食だった。お味噌汁と野菜の和え物と炊き込みご飯。
「こんな材料ここにあったの?」
凌駕が嬉しそうに食べる。
「・・・はい・・・」
椿は箸で少しつつく程度でほとんど自分は食べていない。

少しでも椿の気持ちを盛り上げようと明るく振舞う凌駕。

海はどんどんと椿の皿に食べ物を入れていく。

「椿ちゃんて料理うまいよね」
「・・・はい・・・」
「結構料理してんの?」
「・・・昔から・・・うちは母がしないんで・・・」
一瞬凌駕がしまったという顔で海を見る。

今の椿に家族の話題は禁句だったのに触れてしまった。
海は凌駕からの視線にバカと目を見開いて返す。