凌駕は一度自分の部屋に荷物を取りに戻った。
海が簡単な食事を作りリビングへ運ぶとベランダの窓が開いていた。

ベランダに出るとそこには空を見上げる椿。

もうすっかり暗くなっている夜空を見上げる椿は今にも消えてしまいそうに見える。

思わず海は椿の名前を呼んでいた。

「椿」
その声の方を椿が見る。

「・・・」
名前を呼んだだけで海はなんと声を掛けたらいいかが分からない。

「店長・・・」
「ん?」
「ご迷惑ばかりすみません。」
椿が丁寧に海に頭を下げる。