好きな人の物語


そんな病院嫌いを発症したせいで雪那は度々


病院を脱走。月に一度の定期検診もサボるのを


繰り返し、とうとう佐那にバレてしっかりと説教


をされた。


ただ、佐那に怒られたからと言って病院嫌いが


無くなるはずもなく、医者になった今でも佐那が


少しでも気を抜いたら病院を脱走したり定期検診


をサボろうとする。


そんな雪那の事をしっかりと回りの人たちも分か


っているらしい。


「うぅっ、やだなぁ。」


そう呟く雪那に春来は苦笑した。


「この前、そろそろ定期検診入れといてって佐那


くんに言われてたからね。」


「うっ、お兄ちゃんのばかぁ。」


雪那は思わず言った。


「まあまあ、佐那くんも雪那ちゃんの事心配して


るからねえ。」


「でもちょっと過保護過ぎない?」


「...それは多少のご愛嬌だよねぇ。」


「うわっ、それどうにもなら無いって言われてる


みたいでやだ。」


「みたいじゃなくて言ってるんだけどね。


雪那もそろそろ諦めたら?」


「え、やだ。」


即答する雪那。