「どきなさいよ!地味女!」

立ち尽くす姫に、美紅が耳元で言う。優は見守っている。今がチャンスだと姫の心が叫んでいる。この気持ちを、ぶつけたい。

「あなたに、優は渡さない!私は優が好き!!優に振り向いてもらうために、オシャレ博士になった!!人をいじめるような人に、優は渡さない!!」

教室でそう叫んだ姫を、「生告白!!」とクラスメートや友達が騒ぐ。叫び終わった姫は言ってしまったと恥ずかしくなる。しかし、ふわりと誰かに抱きしめられた。

「俺も好き。メッセージ、気付いてくれてありがとう」

クラス中から歓声が上がる。姫は、この出来事が夢のようだと頰をつねってしまった。優は優しく抱きしめ続けてくれている。

「な、何よ!!」

唇を噛み締め、美紅は教室を出て行く。しかし、それを止める人はいない。今はそれどころではないのだ。

「カップルの誕生で〜す!」

お調子者が騒ぎ、姫と優は微笑む。優は姫を離したが、二人の手だけはいつまでも離れなかった。