「姫!入るぞ〜」

しびれを切らしたのか、優がノックもせずに入ってくる。そして、目を丸くした。

「えへへ。どう?可愛い?」

ヘアアレンジを一番に優に見てもらえて、姫の胸が高鳴る。姫はずっと優のことが好きだ。自分を変えようと努力し、優が「似合ってる」と言ってくれたあの日から、ずっと……。

「……似合ってるから、早く行くぞ」

「は〜い!」

優の頰が赤く染まっていることに気付き、姫は嬉しくなる。自分のことを少しでも見てもらいたい。恋する乙女なら誰もが思うことだ。

「それにしても、よくそんな難しいことができるよな」

家を出て道を歩きながら、優が姫の髪を見つめる。整った華やかな顔立ちで見つめられ、姫の胸はドキッと音を立てた。

「慣れたら簡単だよ。でも、その前に自分に似合う髪型を見つけないとね」

「自分に似合う髪型?」

よくぞ聞いてくれた!と姫の目が輝く。姫はオシャレ博士と友達の間で呼ばれているほどで、オシャレに関しては何でも知っているのだ。