「ふ〜ん……。やっぱりあんた、あの地味女だったんだ〜」

棘のある言葉に、姫は後ろを振り返る。誰もいないからか、美紅は今までの転校生という雰囲気ではなかった。あの時のいじめっ子だ。

「全然違ってびっくり〜。小学生の頃何であんなに地味だったわけ?あ!ひょっとして整形?高校生デビュー?でも、相変わらずブッサイク〜!!」

下品に笑い、大声で姫に悪口を言う美紅を、姫は呆然と見ることしかできなかった。言い返したい。自分は、生まれ変わったのだ。でも、言葉が出てこない。

「ねえねえ、優くん!こんな女とじゃなくて私とデートしよ?」

姫を押しのけ、美紅は甘い声で言う。「やめて!」と姫は言いたかったが、言葉が出てこない。怖くて、体を震わせるばかりだ。

優が何かを言ってくれるんじゃないかと期待する。しかし、優は何か言いたげな目を姫に向けた後、美紅に連れられて教室を出てしまった。

「何で……?優……」

ポタポタと涙がこぼれる。手鏡を見れば、涙でグシャグシャになった自分がいた。何も中身が変わっていなかったことに、姫は泣き続ける。

鏡を叩き割りたいほど、姫は怒りと悲しみに揺れていた。