「姫なんて名前、あんたに似合わないんだよ!」

「その服、ダッサ〜!!」

「キモいんですけど、近づかないでよ!」

美紅に言われた言葉が、姫の中で蘇る。いじめられていた頃は、美紅が転向したことによって終わった。しかし、また同じ空間に……。

どうしよう、またいじめられる。そんな不安を姫は抱えたまま、ホームルームが終了した。



姫は美紅と一言も話さないまま、放課後を迎えた。怖くて話しかけることなどできない。優もそれを知ってから何も言わず、愛たちも姫の過去を知っているので普通だった。

「優、早く行こう!あそこのカフェ行きたかったんだ〜」

帰りのホームルームが終わり、生徒たちがゾロゾロ帰っていく。姫はかばんを手にすぐに優に話しかけた。今日は一緒に帰る予定だ。

「ああ。コーヒー、奢れよ」

「わかってる!」

優と話している間は、美紅が転校して来たことを忘れられる。幸せをやっと姫が感じたその時だった。