「あっ!カズにィー!」

アリサの声はカズオには届きません。

カズオの駆け込む物音で、ハルナは目を覚ましました。

「カズにィ…お仕事、終わったの?」

ベッドに横たわったハルナの顔は、以前とは別人でした。

「あ、あぁ…そんなことより、病院へ行こう!救急車すぐに呼ぶから…な?」

ハルナは力無い声で、静かに言いました。

「ダメだよ…」

「どうして?!!」

温厚なカズオが声を荒だてます。

ハルナはカズオを諭すように答えました。

「病院ではケータイ使えないでしょ…彼から電話が来たら困るもん…」

「ハルナ…」

カズオはベッドの側に座り込みます。