嘘の仮面

「着きました」

「ありがとうございます」

「誠、また明日ね!」

「うん。理人も瑠衣もまた明日。じゃあね」

「おう!」

「………」


え、無言…???







「ふぅ…」


疲れた。頭痛い。


ウィッグを被って一日過ごしたからネットが頭に食い込んで痛い。

雑にウィッグを放り投げて頭に酸素を吸わせる。



輪郭や目の大きさなどを変えるために顔に装備していたテーピング。


元々の目の色を変えるためにつけていたオーダーメイドの茶色のカラコン。


染めた自分の髪の毛から作った被っていて違和感のないウィッグ。


胸を潰すために巻いていたサラシとコルセット。


身長を底上げするために踵に装備していたインソール。


自然な男の顔になるために施していたメイク。



元の自分を隠すために身につけていたものを全て外すと、体がとても軽くなって息がしやすくなった。


ふと視線を向けた先に見えた鏡に映った自分の姿。


白髪に赤い目、眉から頬にかけて残った切り傷の跡。


他人から見たら不気味でしかないこの姿は、自分でさえも不気味に思う。
できることなら一生見たくない。

でも自分の体だからなぁ…。

目と髪はともかく、顔の傷に関しては整形レベルじゃないと消えないのが厳しい。