嘘の仮面

「それじゃあ、いつも誠は放課後何してるの?」

「んー…基本的に寝てるかパソコン触って調べものするかしかしてないなぁ」

「それ飽きないのか?」

「小説とか漫画読んでたり、気になる記事見つけて読んだりしてるからそうでもないよ」

「えー!誠小説なんか読むんだ!ちょっと意外かも」

「そうかな?言われたことないけど…」


当たり障りのない会話をする。

瑠衣は携帯を触って何か読んでるのか、スクロールする指以外動かない。


…ほんとに表情筋生きてる…?



「…お前、家どこだ」

「え?あぁ、この道まっすぐ進んでコンビニあるでしょ?そのすぐ後ろが叔母の家なんだけど、今日は家に寄らないといけないからそこで降ろしてもらっていいかな?」

「…わかった」


こんな会話をしていると、運転手さんから声がかかる。


「すみません、そこ確か道が狭くて通れない記憶があります」

「あ、そうだった。いつも自転車で通ってるから忘れてた」


そこのコンビニで降ろしてもらえますか?

申し訳なさそうに告げる運転手に向かってこちらも申し訳なさそうに告げてみる。



実際叔母なんて存在しない。
告げた家は見知らぬ誰かの家だ。

見知らぬ誰かを巻き込むのは申し訳ないと思うが、自分の家を知られるわけにはいかない。