嘘の仮面



…ごめんなさい。

あなたに被害が行かないように、どうにかします。


ペンダントを握りしめたまま壁際に寄る。

一息ついてから手の力を弛めて改めてペンダントを眺めた。

まさかこんなに近くで探し物が見つかるなんて思ってもみなかった。


ずっと探していたもの。


だけど、見つけてしまったらもう戻れないこと。


…色んな人を巻き込んでしまう可能性がとても高いこと。



こんなものにみんな囚われて何になるんだろう。

何も生み出さないし、むしろ減るばかり。


ウロボロスなんて、もう封印しなければならない…。


「あっ誠ー!やっと見つけた!」

「……唯斗」

「遅ぇから探しに来た」

「…そっか」

「…目当てのものは買えたか?」

「…うん」


あ、お金返すね。ありがとう。


財布から出したまま仕舞っていなかったお金を返す。

瑠衣少ししわくちゃになった3人の諭吉を少し眺めてから鞄に仕舞った。



「…誠?」

「……」

「誠、どうした?」

「あ、なんでもない。ちょっとぼーっとしてた」


へらっとなんでもないように笑ってみせる。


…上手く笑えてたらいいんだけど。