嘘の仮面



「…こいつで間違いねぇか?」

「はい、それです。いくらですか?絶対この値段じゃないと思いますが」

「いや、金はいらない」

「え?」

「これがわかるやつにならそのまま渡す決まりになってる」

「決まり…」


そんな決まりなんてあっただろうか。

だけど、これが手元から離れてから10年は経ってるからその間に決まりができたのかもしれない。

それならお言葉に甘えていただこう。


「…ありがとうございます」

「ん。…気をつけろよ」

「……はい。ありがとう、ございます」


ちゃり、と差し出した手のひらに優しくペンダントが置かれた。

小さいくて軽いはずだけど、それはずっしりと重く感じて。


重さを感じた途端心臓が更に加速した。

…腕の痛みも一緒に。