「ねぇ瑠衣、なんでもうちょっと勧誘しなかったの?」
「…あいつの顔、見ただろ」
「っ、見たけど、でも…っ」
「おまえは」
過去に踏み込まれるのが好きなのか?
そう睨むように言われた俺たちははっとした。
そうだ、あいつにも暗い過去があるのは今朝察したじゃないか。
誰も思い出したくない過去のことに踏み込んでほしくないに決まってる。
俺も含めて、過去を詮索されるのは大嫌いだ。
そんなあいつの意見を無視して強引に勧誘しようとして、無断で、しかも土足で過去に踏み込んだ。
…そりゃあ入りたくないわ。
俺だって嫌だ。
そんな奴がいる暴走族なんて。
