普通のやつならここで食いついてくるのに、あいつは違った。
寂しそうな、それでいて苦しそうな、そんな顔をして断ったんだ。
その顔があまりにも見てられなくて、俺は思わず目をそらした。
どう頑張っても入ってくれなさそうな気がして、でもなぜかとても希光に入ってほしくて。
なのに、あの顔を見てからあとに続く言葉が一音も紡げなかった。
そんな俺らを置いて、瑠衣は無理に入らなくてもいいとあいつに告げた。
その言葉を言われた本人も一瞬理解できなかったみたいでぽかんとしてたけど、理解した途端ものすごくほっとした顔をしたんだ。
…そんなに、希光に入るのが嫌かよ。
お言葉に甘えて辞退すると言ったあいつはそのまま屋上から出て行った。
…笑ってはいたけど、何故か寂しそうな笑みを浮かべて。
