冷たくしないで、


外に出ると春を感じさせる匂いがした。
あの独特な匂い。わかる人にはわかる。

でも、私はこの匂いが苦手だ…

って、こんなこと考えてる暇があるなら足を動かせってのな。

やばい、普通に遅刻しそう。乗ろうと思ってた電車が来ちゃう…

走らないと間に合わないな…

頑張って綺麗に整えた前髪はもう諦めて全速力で走ろう。じゃないと間に合わない。

よし、覚悟を決めて走ろう。


「はぁはぁはぁ、間に合ったぁ」

滑り込みで電車に乗ることに成功。
まぁ滑り込んではないけど。

そんなことより、鞄から手より小さいサイズの手鏡を出して、前髪を確認。

あああ、見えてたかな…おでこ。

周りの人の目を確認。あんまり見てないね…良かったぁ、見られなくて…


『〜間もなく○○〜…』


お、もう少しで着くね。

次止まる駅で友達と待ち合わせしてるから早く出れるように、ドア付近に行こう。


『〜お出口は右側です〜…』


電車のアナウンスと共に瞬時に電車を降りた。