雨の滴と恋の雫とエトセトラ

「じゃあ、また一緒に帰ろう。今日は少し寄り道しないか? ただ家に帰るだけならつまらないしさ。それに刺激があれば、きっともっと僕のこと考えてくれると思うんだ」

「刺激?」

 拓登が目の前に居るだけで、充分過ぎるほどの刺激ですが…… と突っ込みたくなった。

「それじゃ先に下駄箱で待ってるから」

 返事を言う前に拓登は行ってしまった。

 私はすぐに教室に戻り、三人に事情を話した。

「へぇ、私達より山之内君をとるんだ」

 かの子が嫌味っぽく言う。

「そういうこと言うのやめなさい」

 千佳がかの子の頭を軽く叩く。

 かの子が舌を出しておどけていることからそれは冗談なのは分かっていた。

「なんか私ちょっと嫉妬しちゃうな。真由をとられちゃうみたいで」

 みのりも笑っていたので、ちょっとした冗談だが、自分だけこういうことになると、友達の輪が崩れないか少し心配だった。

「ごめんね。私から話を振っておいて、投げ出しちゃって」

「いいっていいて。とにかくまたネタが増えるから、後日ちゃんと報告したらそれでオッケー」

 かの子がそういえば、残りの二人も気を悪くすることはなかった。

「それより、早く行きなよ。山之内君待たせたら失礼だぞ」

 千佳に後押しされて、私は鞄を持って教室を出た。

 その時、廊下で一組の女の子達が私を睨んでるような目つきで見ていたような気がしたのは、気のせいだと思いたかった。