雨の滴と恋の雫とエトセトラ

「おはよう。真由」

「オッス、真由。一体、逸美と何話してんだ? さては山之内君との仲をきかれてたんだろ」

 千佳がギロリと逸美を見て言った。

「逸美は情報屋だから、他のクラスの誰かに探るように頼まれてるんだよ。それとも、自分のためなのかな」

 かの子も同じように厳しい目を向けた。

 この二人に睨まれたら逸美はたじたじになって、急におとなしくなる。

「もう、そんな意地悪にならなくても。誰だって聞きたくなるじゃない」

「逸美の場合、聞いたらそれを言いふらすだろ。ほんと迷惑なんだよ」

 男っぽい千佳に冷たくあしらわれると逸美は怖気ついたように一歩下がった。

「ごめん、倉持さん。そういうつもりじゃなかったんだ」

 そういうと、他の友達を求めて去っていった。

 逸美はコバンザメのように何かに寄生しては、調子のいい事を言って自分の利益につなげる。

 世渡り上手な賢さは備えていたが、好奇心が強いので根掘り葉掘りきかれると鬱陶しい輩だった。

「千佳、かの子ありがとう。お陰で助かった」

「いいって、いいって、でも私達にはちゃんと教えてくれるよね。友達だもんね」

 かの子がニタついては意味ありげに表情を作っていた。

 それを見て千佳が頭を指でこついた。

 この二人は気の置けないこともあって、なんでも話せると思う。

 というより、早速前日の夕方に起こった事をいいたかった。

 そこにみのりが眠たそうにやってきた。

「みんな、おはよう。なんか朝から元気そうだね」

 とろんとした目を向けてみのりは大きく欠伸をしだして、それを手で隠していた。

 そしてこの三人が集まったところで、私は周りを確かめてから体を縮めて、拓登と瑛太の事を話し出した。

 三人もそれに合わせるかのように私に接近してきた。