「やまの…… えっと、拓登、あの、学校ではやっぱりみんなの前だから、山之内君って呼んでいいよね」
「ダメだ」
「えっ、ダメ?」
「こういうのは一貫性がないと。真由、しっかりと僕を見てよ。約束しただろ。それから瑛太には惑わされないでほしい。それじゃ、ごめん、そろそろ行く。気をつけて帰ってよ。また明日学校で」
慌てている拓登に流されるまま、私は頼りなく手を振って別れの挨拶をした。
拓登は自転車を手にして跨ると、私を一度見て微笑んでからすーっと暗闇の中へと向かっていった。
私はあまりにも非現実的な事を味わって、夢を見ているように、拓登の背中が暗闇に突っ込んで小さくなっていくのをぼんやりと目に映していた。
あっと言う間に遠くへいって、薄っすらとした影も点となってとうとう消えていった。
夢見心地でふわふわとして、足が地についてない感覚でうちへ帰るが、次の日学校で拓登と出会ったときどんな顔をすればいいのかと思うと、突然現実に引き戻されてはっとした。
私が拓登と呼べば、目立つこと間違いない。
仲が良くなったことをアピールするわけではないが、そんなところを見てしまえば女の子達の反感を買うのが容易に推測できる。
そう思うと、学校ではできるだけ接触しないようにとつい逃げる事を考えていた。
「ダメだ」
「えっ、ダメ?」
「こういうのは一貫性がないと。真由、しっかりと僕を見てよ。約束しただろ。それから瑛太には惑わされないでほしい。それじゃ、ごめん、そろそろ行く。気をつけて帰ってよ。また明日学校で」
慌てている拓登に流されるまま、私は頼りなく手を振って別れの挨拶をした。
拓登は自転車を手にして跨ると、私を一度見て微笑んでからすーっと暗闇の中へと向かっていった。
私はあまりにも非現実的な事を味わって、夢を見ているように、拓登の背中が暗闇に突っ込んで小さくなっていくのをぼんやりと目に映していた。
あっと言う間に遠くへいって、薄っすらとした影も点となってとうとう消えていった。
夢見心地でふわふわとして、足が地についてない感覚でうちへ帰るが、次の日学校で拓登と出会ったときどんな顔をすればいいのかと思うと、突然現実に引き戻されてはっとした。
私が拓登と呼べば、目立つこと間違いない。
仲が良くなったことをアピールするわけではないが、そんなところを見てしまえば女の子達の反感を買うのが容易に推測できる。
そう思うと、学校ではできるだけ接触しないようにとつい逃げる事を考えていた。



