雨の滴と恋の雫とエトセトラ

 拓登も暗闇の中で、周りのかき集めた光に照らされて笑っていた。

 幾分かリラックスした和らいだ表情だった。

 私達が駅の前で立っていると、何度となく電車から降りてきた人が改札口を通ってすれ違って行く。

 その度にじろじろ見られていたが、そんなことも気にならないほどに感覚が麻痺しているようだった。

 その時、スマホから音楽が流れてくる。

 その音に目が覚めるようにハッとさせられた。

 拓登のスマホからだったので、拓登はすぐに反応して操作した。

 私に悪いと思ったのか、すまなさそうな態度を見せて、背中を向けて遠慮がちに会話を始めた。

「今、駅の前。ああ、そうだ。わかった。後で電話する」

 手っ取り早く済ませて、また私と向き合った。

「ごめん、ちょっと用事ができたんだ。ほんとは真由を家まで送りたいんだけど」

「気にしないで。それに誰か人と待ち合わせてたんでしょ。そっちを優先して」

「うん。それじゃまた明日学校で。今日は色々と真由にぶつけちゃって本当にごめん。でも言いたい事が言えて僕はよかった。これも瑛太が出てきたから僕は対抗して意地になってしまったかもしれない」

 確かに瑛太の登場でかなり駒が進んだ。

 全てが私にとってなんだか不自然に感じるほどの出来事だった。

 ついていけなかったからそう思うのかもしれないが、それは拓登が望んだから無理やり補正されたように私が変えられただけなのかもしれない。

 でも、拓登を真剣に考えるって約束してしまったけど、私はもうすでに考えているんだけど。

 一体その後は何をどうするのだろう。