雨の滴と恋の雫とエトセトラ

「ちょっと真由、一体昨日はどういうことなの?」

 グループのリーダーでも言うべき存在の中村かの子が噛み付いてくる。

 しっかりしているから、思ったことは何でも口にしてしまうタイプだけに、代表者のようにこの場を仕切っていた。

「どういうことって言われても、住んでる町が同じだし、学校に通う前に近所で一度面識があったからそれで話しただけ」

「ちょっと、どうしてそんな大事なこと私達に言わなかったのよ」

「別に、言うほどのことじゃ……」

 横で笹屋みのりが私の制服の裾をそっと引っ張った。

 グループの中では大人しく控えめな存在だが、見るところはしっかりと見ている観察やだった。

 その場の雰囲気を見て周りに合わすのが上手い世渡り上手なところがある。

 早く言えば計算高いという事でもあるが、この時、みのりがまるで逆らうなとでも言いたげに、そっと私に知らせてくれていた。

 彼女曰く、こういうときは控えめにしているのがいいらしい。

 かの子は全てを把握していないと気がすまなくて、リーダー格な性分なために知らない事があるとイライラするみたいだった。

 それをなだめるために、私は意味もなく謝る。

「ご、ごめん」

「まあ、かの子もそこまで責めることないじゃない。これは私達には関係のないことだと思うよ。真由も気にしないでいいからね。かの子はちょっと羨ましいだけだから」

 井沢千佳は少し男勝りのあるさっぱりした性格だった。

 唯一かの子に口出しできる立場なために、いつも客観的に意見をいうところが頼もしかった。