雨の滴と恋の雫とエトセトラ

 つい頭をブンブン振り回してしまい、心の中の嫌な感情と無意識に戦っていた。

 とにかく池谷君に惑わされないようにすればいい。

 それと、急に声を掛けられて距離が近くなってしまった山之内君とは、今後どう接すればいいのだろう。

 池谷君は会う機会はあまりないけど、山之内君とは同じ学校で隣のクラスだけに、顔を合わせる機会は非常に高い。

 この朝だって、通学路が全くどんぴしゃりと被るだけに、もしかしたら山之内君と会う可能性だってある。

 でもよく考えたら、前日までそんな風に思ったことがなかったし、学校生活が始まってから朝一緒になることもなかった。

 それなのに駅に着いたら、キョロキョロと周りを確かめてしまう。

 そこには朝も一緒に通いたいと思う願望が密かに隠れていて、やっぱり声を掛けてもらって浮かれていたんだと我に返ってしまった。

 山之内君にしたら傘を貸したことで、お礼がてらにただ私と話したかっただけなのかもしれない。

 あまり自惚れても、後で痛い目に遭いそうな気もしてきて自重してしまう。

 自分でもどこまで落ち着かないでいるのか、浮き沈みの激しい感情に朝から疲れてきた。

 それよりも自分のことに精一杯で、教室内で友達に取り囲まれ、前日の事を根掘り葉掘り訊かれる事を想定してなかった。

 私が学校について教室に入ると、皆が興味津々に集まってくる。

 嫉妬も入り混じって質問してくるのが鬱陶しく思えた。

 普段喋りもしないグループの違う女の子達が寄ってきて、山之内君と一緒に帰った感想を求めてくる。

 それは朝の挨拶と共に愛想だけは振りまいて適当に誤魔化した。

 相手は物足りなさそうにしていたが、別に話さなければならないと言う義務もないから、それでお互い仕方がないと納得だろう。

 だが、自分のグループ内ではそういう訳にはいかなかった。